超音波検査の思わぬ誤診を防ぐ!知らなきゃ危ない3つの落とし穴(全3回)
- 獣医師
超音波検査は病気の診断や鑑別を進めるにあたり、非常に優れた検査です。もちろん血液検査や尿検査等の解釈、X線検査の読影も非常に大切であり、おろそかにして良いものではありません。しかし、実際の臨床現場では散々X線検査所見を読影し、色々と検討したにも関わらず、腹部エコー検査を少し実施するだけで簡単に診断がつくことや次に何をすべきなのか方針が決まることが多くあります。
今回のセミナーは教科書や大学の講義の様な病気の羅列、紹介ではなく、明日からの臨床現場ですぐ使える知識や技術を臨床獣医師の皆さんのために話したいと思います。このセミナーを聞いた後に、「何はともあれ超音波プローブ当ててみよう」「超音波検査って楽しいな」等の声が聞こえることを期待しております。
カリキュラム
<第1回>落とし穴1:腹部臓器本当に全部見えていますか?
最近FASTという言葉を多く耳にします。FASTを言い訳に超音波検査を簡略化していませんか?FASTは液体貯留の有無を確認しますが、液体貯留がある場合に原因を探すために腹部全域の超音波検査をしなくてはいけません。また肝臓全部の葉を見ていますか?脾臓を端から端まで満遍なく見ていますか?一部のみを見て診断していませんか?はい!しっかり全部見るようにしましょう!
<第2回>落とし穴2:超音波検査を腹部だけに使っていませんか?
『勿体無い』その言葉につきます。超音波検査装置は決して安くない機械です。腹部だけに限定して使うのは勿体無いです。また、普段は見ないリンパ節や頸部の超音波検査から診断がつくことや鑑別が進むことも少なくありません。
さぁ、腹部の外へ超音波プローブを向けてみましょう!
<第3回>落とし穴3:珍しい病気ばかりに気を取られていませんか?
勉強熱心な先生はセミナーを受講しこう思います「こんな珍しい病気があるのか!知らなかった、今度からは鑑別診断に入れよう」と。良いと思いますし間違いではありません。しかし、鑑別診断の上の方に珍しい病気を持っていってしまっていませんか?アミロイドーシス、肺吸虫、子宮捻転等そんな珍しい疾患はまず出会いません。先生が長年やられていて聞いたことがない、見たことがない病気はまず来ません。来たらごめんなさい。また、例えば脾臓に結節が存在する時に実際に臨床現場で最も遭遇するのは結節性過形成や髄外造血等の良性変化です。
臨床現場でよくある所見、特に良性病変の所見を覚えましょう!
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小川名 巧
ER八王子動物高度医療救命救急センター 画像診断科科長
公益財団法人 日本小動物医療センター 画像診断科